真言宗豊山派仏教青年会

写仏の描き方〜実践編〜

10.ちょっと息抜き「描き方は人それぞれ」

 

三者三様、十人十色、千差万別。「人によってさまざま」という意味の言葉はたくさんあります。写仏もまさに百人百様です。描き終ったあとに、台紙の仏さまと見比べてみてください。お友達と一緒に写仏をしている時には、お友達の仏さまと見比べてみてください。仏さまをなぞって描いているのに、表情が違っていることに気がつくはずです。自分なりの仏さまが描けたときに、写仏の楽しみを感じていただけたら幸いです。

 

今回は、一つではない描き方を少しだけ紹介します。

 

(1)墨の濃淡を使い分ける

 

水墨画を思い浮かべてみてください。墨とは面白いもので、水の量次第で、表現できる墨の濃さは限りありません。一枚の紙に奥行きを表現することができます。しかし、手間がかかるのも事実ですので、楽しみの一つとして捉えていただければ良いでしょう。

 

(2)模様に色を付けてみる

 

(1)に近いかもしれませんが、衣の模様などに薄い墨で色を付けることもあります。半紙の白と墨の黒の二色しかない仏さまの画の中に、「灰色」という一色を加えることで、わかりづらい部分を明確に表現できます。しかし、こうしなくてはいけない、というものではなく、(1)と同じように、表現の一つ、楽しみの一つとしてください。

 

(3)彩色をしてみる

 

これは墨の薄さではなく、赤や黄、青や緑の色を入れることです。塗料がたくさんありますが、仏画に用いられるものは「顔料」というもので、色合いを出すのが難しいです。水彩絵の具を使うのが楽ですが、掛け軸にしづらかったりするので、やはり、楽しみの一つにしてください。

 

 

この他にも、自分なりの仏さまの描き方がたくさんあるでしょう。

これは余談ですが、(3)の彩色に関して、色が入ることで「仏画」になるのでは、と思われる人もいるかもしれませんが、厳密には「仏画」ではなく塗り絵に近いものがあると思ってください。

仏画とは、線の段階から色が入っているものです。墨で線を描くのではなく、経典にのっとった色の線を用いて仏さまを描くのが仏画ですので、ご留意ください。